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かえるのゴムぐつ
新編風の又三郎
宮沢賢治『新編風の又三郎』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蛙のゴム靴、虔十公園林、十月の末、谷、二十六夜、やまなし。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,031 字 · 84 页
今夜ももう一時の上りの汽車の音が聞えて来ました。その音を聞くと梟どもは泣きながらも、汽車の赤い明るいならんだ窓のことを考えるのでした。講釈がまた始まりました。
「心暫らくも安らかなることなしと、どうじゃ、みなの衆、ただの一時でも、ゆっくりと何の心配もなく落ち着いたことがあるかの。もういつでもいつでもびくびくものじゃ。一度梟身を尽して又新に梟身を得と斯うじゃ。泣いて悔やんで悲しんで、ついには年老る、病気になる、あらんかぎりの難儀をして、それで死んだら、もうこの様な悪鳥の身を離れるかとならば、仲々そうは参らぬぞや。身に染み込んだ罪業から、又梟に生れるじゃ。斯の如くにして百生、二百生、乃至劫をも亘るまで、この梟身を免れぬのじゃ。審に諸の患難を蒙りて又尽くることなし。もう何もかも辛いことばかりじゃ。さて今東の空は黄金色になられた。もう月天子がお出ましなのじゃ。来月二十六夜ならば、このお光に疾翔大力さまを拝み申すじゃなれど、今宵とて又拝み申さぬことでない、みなの衆、ようくまごころを以て仰ぎ奉るじゃ。」
二十六夜の金いろの鎌の形のお月さまが、しずかにお登りになりました。