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りょかくきじけん

旅客機事件

大庭 武年

「探偵」駿南社、1931(昭和6)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,209 字 · 21 页

青空文庫

近傍の農夫発見して届け出ず。

一、墜死者綿井茂一は、D飛行場出発前、飛行場員に託し、一封の手紙を投函せんとした。場員は受取った儘おいたが、事件報知と共に、警察官立会の上開封した。それはA市にある家庭に宛てたもので、商売上の失敗から厭世自殺をする旨の遺書で、その自殺の方法として、飛行機から飛び降りる事を択んだとしたためられてあった。これはD飛行場からの長距離電話。

一、被害者秀岡氏は、取調べの結果、商業上の要務で、現金五万円余を携帯し、至急K市に向う途中であった。(同上電話)

3

訊問官は、今は三枝機関士を、正当な兇行者と疑わざるを得ない事になった。

「君は、秀岡氏を殺すと脅迫したろう?」

三枝は、それがどうして分ったろう、と言うように顔色を変えた。

「…………」

「君と秀岡氏とは如何なる関係にあるのか?」

「謂ば敵同士でしょうか――」三枝は観念したように小さく答えた。

「私の一家と、秀岡とは姻戚関係にあるのですが、それにも不拘私の一家は秀岡の悪辣な手にかかって破産せられ、非常にみじめな目に陥入れられたのです」

「秀岡氏と君との間に今朝以来行われたいきさつを話し給え。