轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りょかくきじけん
旅客機事件
大庭 武年
「探偵」駿南社、1931(昭和6)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,209 字 · 21 页
尚、念の為めに附記すれば、Aの座席に重役風の紳士が、Bの座席に商人風の男が坐っていたのである)。そして、窮屈な扉から客室の方へもぐり降りて行った。
山、河、谷、原……それから十分はたっぷりかかったろう。三枝は池内が二度時計を出して眺めている所へ、帰って来た。と池内は何かしら胸を押えられる気重な気分を三枝の持つ雰囲気から受けた。
「変だなあ、こいつ――」
丁度その時、前方から飛翔して来たP民間飛行場のアブロ練習機が、見事なインメルマン・ターンをして、ピタリと旅客機の左肩に機首を並べた。
「よう!」
「よう!」
両方から手を振って愉快な交驩をしたが、次の瞬間には練習機はじゃれつくように急昇騰して、旅客機の背中をすれすれに飛ぶと、すいと失速旋回をして、見る間に百米も後方に、吹き飛ばされたように流れ去って行った。
「やっと半分来た」池内操縦士は操縦桿を握り乍ら思った。練習機の飛ぶあたり、DとHの両飛行場を結ぶ空路の、中途に当るのだった。
それから後の三十数分間は、池内操縦士は不思議な相棒の、昂奮した、色蒼ざめた、変に落ちつかない、顔色や態度に悩まされ続けて飛んだ。