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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
どうにかせずにはすまされない心持――。庸之助はそれが「希望」であることを覚ったのであった。
「希望!」
父親の入獄以来、自分には絶対に関係ないと思っていた「希望。」
「ああ! 俺にはまだ希望があったのだ※(感嘆符二つ、1-8-75) 希望が!」庸之助はこわばっていた心が、端からトロトロと融けて来るのを感じた。名状しがたい涙がこぼれ出したのである。
十四
庸之助にとっては、どうしても偶然とは思えないこのことのために、一旦影を隠していた彼の「善の理想」がまた頭を擡げ出したのである。
「俺は一生これで終る人間ではない!」とは、もちろんただ思っただけで終ってしまうかもしれないが、庸之助には心強かった。どうしてもすべてが天の配剤だという気がして急に明るい広い、道が開けたのを感じたのである。
天が自分に幸すると思うと、光輝ある考えになって来た彼は、また立志伝中の一人として自分を予想し、努力し始めた。彼は全く熱中して、善い自分を現わすことに心ごと打ちこんで掛ったのである。ちょうど、先に彼が、猫を被って、世間体をごまかしている者達を、アッと云わせてやるほど、どこまでも悪太くなれと覚悟したときの通りの、強い熱心をもって、今度はまるで反対の方へ進み始めたのである。