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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
胸をかきさばいたり、喉に指を突込んでかきまわしたりした。体中であばれまわった。が、玉はずんずん上って来る。グングン、グングン火を燃やしながら上って来る。ああ苦しい、あ! 死にそうだ! お咲は両手で口中を掻きまわしたが、とうとう火の玉が喉までこみあげてしまった。息がつまる! 体中燃え立つ!……。お咲は気が違ってしまったのである。
咲二のこと、次でお咲の容態を一時に知らされた浩は、どうしてもほんとにされなかった。それほど僅かの日数の間に人一人が気違いになるということは信じられなかった。彼は小石川へ聞きに行った。そこにもまた浩の得たと全く同様な驚愕と憂慮が漲っていた。突然に起って来たあまり不幸過ぎる事件は、皆の心に疑念を起させて、もう一度こちらから、孝之進に訊き正しのような手紙を発送させたのである。
出来るだけ委しくと、なおなおがきの付いた手紙を受取ったとき、孝之進はお咲を入れて置く部屋の準備にせわしかった。家族以外の者さえ見ると、荒れ騒ぐ彼女を、一番奥の一間に監禁しようとしていたのである。部屋中の器物を皆持ち出して、踏台をあちらこちら持ち運びながら、彼は釘、鋲などと、どんな小さいものでも、およそ表面の突起となっている物という物を抜き取った。