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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

戸をこじっているとき、唇をかみしめ、かみしめ、外を覗いているとき、彼女の心の中には、ちょうど囚人が、爪の間にかくせるほどの鑢で、鉄窓のボールトをすり切ろうとしているときの通りの、寸分異わない熱心さ――常識で判断出来ない忍耐と、努力、想像の許されないほどの巧妙な手段を発見すること――をもって、全身の精力を傾注することを惜しまなかったのである。もちろん惜しい惜しくないは、問題にもならなかったのである。

それ故、自分の鍾愛の者に、自由に接近し愛撫し得る、位置にある者すべてに、彼女は病的な嫉妬を感じた。激情が心を荒れまわって、誰彼の区別なく罵った。

「どうしても会わせないの? どうしても?」

血が燃え上るような憤怒で、彼女は夢中になった。戸を両手や体でガタガタと揺ったり、蹴ったりした。散々荒れまわった末、疲れきって暫く呆然としている彼女の心が、また落付いて来ると、前と同様な苦悩が、お咲の心を掻き乱し、悶えさせたのである。

お咲は泣きながら、無双から差しこむ、日光の黄色い中に跳ねまわっている塵の群を見ながら考えた。

「私はどうすれば好いのだろう? 一生この中で暮さなければならないのか、一生! 一生この中で?」