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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

この不意な、彼女自身も思いがけないとき、目の眩むほどの勢で起ってくる感激は、珍らしいことではなかった。食事の箸を取ろうとした瞬間に、二本の箸を持っている手の力が抜けるほど、心を動かされたこともある。軟かい飯粒を、一粒一粒つまみあげて、静かに味わって喜ぶほど、彼女のうちにはこまやかな、芳醇な情緒が漲っていたのである。

「私ほんとうに今まで浩さんに、済まないことばっかりしてきたわねえ。どうぞ悪く思わないで頂戴」

二人は向い合っていた。

「なぜです? そんなことあ何んでもないじゃあありませんか、お互っこだもの……」

「そりゃああなたはそう思っていてくれるけれど……でも何だわね、あなたが親切にしてくれるほど、私は親切じゃあなかったのは、ほんとうよ」

口を開こうとする浩を遮って、お咲はつづけた。

「姉なんだから、そのくらいしてもらうのは当り前だと思っていたんだけれど、この頃は何だか今まで、皆にすまないことばかりしていたような気がしてたまらないのよ。ずいぶん怨んだり――そりゃあまさか口には出さなくってもね――したことだってあるのを、皆がこうやって私一人のために尽してくれるのを思うと……(涙がとめどなく落ちて、言葉を押し殺してしまった)ほんとに有難いの。