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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

Aが、何の働きもせずに、それでいて立派な生活をしているのを、いくら働いても食うだけのことも出来ないGが、「ああ羨しいなあ」と思い、やがては、狂的な嫉妬で、Aを殺してしまう。金を欲しいのでもない。GにはただAの面を見ると癪に触るという心だけが強かったのである。Aの家族は悲しむ。Gを憎む。出来るだけ酷刑に処してもらいたいと思う。が、死刑にされても、まだ足らなく思う。こういうときに、Gの心持も、Aの家族の心持も、どちらも肯定され、理智的ばかりでなく、ほんとうの心から、両方ながら憎む念などはない――というようになるはずなのかもしれないとも思った。がそれは大変むずかしいことだ。

「すべて好い……」という言葉を思い浮べて、彼は涙をこぼした。

七

ちょうどこのとき、東京駅には、下関発の急行列車が到着した。彼等の頭を押し潰されそうに、重苦しく陰気な通路から、吐き出されたたくさんの旅客の中に混って、庸之助の姿が見えた。小さい鞄を一つ下げ、落着かない目で周囲を見まわしていた彼は、やがて飛び出すように雑沓するうちを、かき分けてどこかへ行ってしまった。都会の中央の、この忙がしいうちで、何の奇もない、田舎者丸出しの一青年の彼に、注意を引かれた者は、ただの一人もなかった。