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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
好奇心に馳られて、太い長いボールトで押しつぶされそうになるのも知らないで、覗いているたくさんの子供や子守を追いはらうだけでさえ一役であったのだ。
浩は平常の通り自分の机の前に腰かけて、帳簿を整理していた。外界から来る雑駁な刺戟と、内心のかなりに纏まっている落着きが、皮膚の表面で混乱しているような心持になりながら、彼は指の先を汚して――浩はペン軸のごくの下部を握るので人指し指の先と中指の第一の関節をめちゃめちゃに汚す癖を持っている――せっせと数字を書き込んでいると、突然大きな音を立てて電話が鳴った。彼は頭を上げた。
「誰かいないかな?」目で捜ねたけれど、自分を措いて誰も見えないので、浩はいつもの癖通り左の耳に受話機を取りあげた。
「モシ、モシ、あなたはK商店ですか?」
太い声が、最初のモシ、モシと云うのに、非常に抑揚をつけ、区切りを切って呼びかけた。Sという大きな会社の庶務から、取締りに出て欲しいと云うのであった。Sというのは、平常店とはほとんど関係のない会社なので、解せない顔をして出て行った取締りは、かなり長く何か話していたが、やがて帰りしなに浩の傍を通りながら、「杵築のことを訊いて来たよ」