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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
極度な静寂を求める心の一面には、高々とこう叫ばれる。「そうだ! ほんとうにしっかりしろ、我が心※(感嘆符二つ、1-8-75)」彼は感激して涙をこぼす。ますます努める。彼の心は苦しむ。いよいよ苦しんで突き通るべきいろいろのものにぶつかる。
それ故、彼はどのような苦痛――外面的にも内面的にも――が現われようが、それに負けて引き下る自分を予想し得ない。従って彼は何事も諦めきれない。失敗した人が、どうせ駄目なことは第三者の目から見れば明白なのに、「新規蒔きなおし」に遣りだす心持はよく分る。ネロが、短剣を胸に擬してまでも自分が今こうやって死ななければならないことを諦められなかった心持を思うと、浩は、男らしくないとか卑怯だとかいうことを通り越して、ひしひしと自分に直接な共鳴を感じるのであった。それ故、庸之助がまた上京し、Sへ勤めようとすることは彼に充分同情出来た。
「それに、あの人は、何も自分自身を見捨てる理由はないのだ。どうぞうまく、まとまれば好いがなあ……」
浩は、庸之助の体を、高く高く両手に捧げて、ドシドシと大きな広い公平な道を歩いて行きたいような心持がした。