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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

と云う通り、自分の思っていてどうにもならない同情などは、迷惑ではあろうとも、何の足しにもならないのは、浩にだって解っていた。けれども浩としては、それならばといって、さっさと引返せない友愛がある。ときどき、仲間の者などと、妙な手真似や符牒で、自分を前へ置きながら、自分の悪口らしいことを云っている庸之助を見ると、浩は、非常に不愉快になって、もう二度と来まいと思う。自分の未練さや、執拗さが物笑いの種にされると思うと堪らなくなった。けれどもまた彼のいる傍を通ると、つい立ちどまって一言でも二言でも話して行かなければ気がすまないものが、その次までに心に湧き出して来る。そして、庸之助がこうなって来れば来るほど、彼のうけたあまり非実際的だった道徳教育――彼をして抽象的な善の理想ばかりあまり多く持たせ、一人の人間として生存している間に必然的に起って来る、善とはいわれない事件に関して、悪の中から善の方へ自分及び他の周囲を見なおす気持を持っていないようにさせた教育――によって、一旦善の理想が破れると、直ちに世界中自分まで引きくるめて「悪ばかり」のものにしてしまった心持が、いとおしく感じられた。