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うんめい
日本の文学 3 五重塔・運命
幸田 露伴
幸田露伴『日本の文学 3 五重塔・運命』。同一底本的分册已合并为一书。收入:運命、風流仏。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 100,648 字 · 198 页
臣ひそかに恐る、数世の後は尾大掉わず、然して後に之が地を削りて之が権を奪わば、則ち其の怨を起すこと、漢の七国、晋の諸王の如くならん。然らざれば則ち険を恃みて衡を争い、然らざれば則ち衆を擁して入朝し、甚しければ則ち間に縁りて而して起たんに、之を防ぐも及ぶ無からん。孝景皇帝は漢の高帝の孫也、七国の王は皆景帝の同宗父兄弟子孫なり。然るに当時一たび其地を削れば則ち兵を構えて西に向えり。晋の諸王は、皆武帝の親子孫なり。然るに世を易うるの後は迭に兵を擁して、以て皇帝を危くせり。昔は賈誼漢の文帝に勧めて、禍を未萌に防ぐの道を白せり。願わくば今先ず諸王の都邑の制を節し、其の衛兵を減じ、其の彊里を限りたまえと。居升の言はおのずから理あり、しかも太祖は太祖の慮あり。其の説くところ、正に太祖の思えるところに反すれば、太祖甚だ喜びずして、居升を獄中に終るに至らしめ給いぬ。居升の上書の後二十余年、太祖崩じて建文帝立ちたもうに及び、居升の言、不幸にして験ありて、漢の七国の喩、眼のあたりの事となれるぞ是非無き。
七国の事、七国の事、嗚呼是れ何ぞ明室と因縁の深きや。葉居升の上書の出ずるに先だつこと九年、洪武元年十一月の事なりき、太祖宮中に大本堂というを建てたまい、古今の図書を充て、儒臣をして太子および諸王に教授せしめらる。