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うんめい
日本の文学 3 五重塔・運命
幸田 露伴
幸田露伴『日本の文学 3 五重塔・運命』。同一底本的分册已合并为一书。收入:運命、風流仏。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 100,648 字 · 198 页
翰林学士の劉三吾、御歎はさることながら、既に皇孫のましませば何事か候うべき、儲君と仰せ出されんには、四海心を繋け奉らんに、然のみは御過憂あるべからず、と白したりければ、実にもと点頭かせられて、其歳の九月、立てゝ皇太孫と定められたるが、即ち後に建文の帝と申す。谷氏の史に、建文帝、生れて十年にして懿文卒すとあるは、蓋し脱字にして、父君に別れ、儲位に立ちたまえる時は、正しく十六歳におわしける。資性穎慧温和、孝心深くましまして、父君の病みたまえる間、三歳に亘りて昼夜膝下を離れたまわず、薨れさせたもうに及びては、思慕の情、悲哀の涙、絶ゆる間もなくて、身も細々と瘠せ細りたまいぬ。太祖これを見たまいて、爾まことに純孝なり、たゞ子を亡いて孫を頼む老いたる我をも念わぬことあらじ、と宣いて、過哀に身を毀らぬよう愛撫せられたりという。其の性質の美、推して知るべし。
はじめ太祖、太子に命じたまいて、章奏を決せしめられけるに、太子仁慈厚くおわしければ、刑獄に於て宥め軽めらるゝこと多かりき。太子亡せたまいければ、太孫をして事に当らしめたまいけるが、太孫もまた寛厚の性、おのずから徳を植えたもうこと多く、又太祖に請いて、遍く礼経を考え、歴代の刑法を参酌し、刑律は教を弼くる所以なれば、凡そ五倫と相渉る者は、宜しく皆法を屈して以て情を伸ぶ