轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
近松秋江『日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江』。同一底本的分册已合并为一书。收入:うつり香、黒髪、狂乱、霜凍る宵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 页
どうして私がそんなにお宮にやっている手紙のことを気にするかというのに、私は今度のお宮のことについても、お宮に向って柳沢のことを露ほども蔭口めいたことをいっていない。ただ一番近くにやった手紙に、柳沢のことを一と口いってあった。それをどうかして柳沢の手に巻きあげられて見られるのが厭だ。そうかといってその手紙にも決してそんな悪口などをいってあるのではなかった。柳沢が私の蔭口をきき、また私の方でもちょうど柳沢のするとおりに柳沢の蔭口をいっているであろうとは、かねて柳沢が邪推しているのだが、私はこれまでそんなことは少しもない。しかるに高等地獄に与えたたった一本のその手紙ゆえに柳沢の平生の邪推を確実なものにするということが私には何よりも耐えられなかったのである。
「柳沢さんのところを、いくら訊いても教えないんだもの」
黙っている私に、おっ被せてお宮はまた毒づいた。
柳沢は、私が教えなかった心持ちを読んだような鋭い黒眼をしてにやりにやり笑っていた。
けれども柳沢とお宮との関係がどんなになっているかは、まだよく分らなかった。
柳沢は、お宮が私に向ってそんなに悪態を吐いている間もしょっちゅう意味ありげににやりにやりと笑ってばかりいた。