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にほんのきんだいてきたんていしょうせつ
日本の近代的探偵小説
平林 初之輔
――特に江戸川乱歩氏に就て――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,706 字 · 11 页
において、わざと犯罪とぴったり符合した連想ばかりをさせたり、「黒手組」において、いかに闇夜とは言え、人間の視力は長時間のうちには暗さに適応してくるはずであるのに、牧田が、複雑な変装をしている間中富美子の父がそれに気がつかなかったりするところなどはその一例である。
私は、三編の中では「心理試験」が最も成功していると思う。この作は、その犯罪の形式から、犯罪者の心理状態、明智との対話等においてドストエフスキーの『罪と罰』に酷似している。ことに終わりの方の場面は予審判事とラスコーリニコフの対話の場面を連想させるほど、中々よく書いてある。けれども第一に犯罪が無理にこしらえてある。婆を殺す理由が実に薄弱である。探偵小説が、単に暗号を解くのと同じように、理知の過程を紙上に記せばよいのであるなら、いかなる犯罪でも仮定してよい。犯罪そのものの動機や自然性などは眼中におかずに、ひたすらその解決に、鮮やかなところを見せれば、よいであろう。けれども私のように、これに芸術的価値を要求する場合には、それだけでは足りない。全体の芸術的結構が問題にならざるをえない。
この意味において、「黒手組」