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いも

日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)

佐左木 俊郎

佐左木俊郎『日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:芋、黒い地帯、都会地図の膨脹。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,241 字 · 54 页

青空文庫

一

部落の中央部に小高い台地の部分があった。

台地の一帯は、南向きの斜平な斜面になっていた。そして、西から北にかけては、厚い雑木林がうねっていた。その青い雑木林のところどころから、黒い杉杜がぬいていて、例えば空から続く大きな腕のように、台地の斜面を抱き込んでいた。

赭土の飛沫を運ぶ春先の暴風に、自然の屏風を備えたこの地帯は、部落中での優良な耕作地であった。此処に三人の地主が巣を喰い、八九家族の小作百姓が生活の大半を托していた。

処が、耕作のために年十五円で貸していたその土地を、坪当り月五銭で借り度いと云う借手が出て来た。住宅地にするのである。十五円の貸地代は、一躍八十円にまで飛んだ。

貸地代によって生活している地主達にとって、耕作価値など全然問題ではない。彼等の知っているのは、所有価値だけである。その土地が、どんな目的に使われようと、唯地代が多ければ地主達はそれでいいのだ。彼等は何んの躊躇もなしに、小作人達からその耕作地を取上げ、そして更に地代を上げて、借手の出るのを待つことにした。

「併し、われわれはどうすればいいんだ? 手前等は、そんで地代が余計這入って来るようになったからよかんべが、一体、われわれは何処から食う物を掘出せばいいんだ?」