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チチハルまで

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)

黒島 伝治

黒島伝治『日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:チチハルまで、名勝地帯、防備隊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,175 字 · 9 页

青空文庫

「一体、どういう状勢なんですか?」俺は、ワクワクしていた。

「そんなこと、訊ねなくッてよろしい! 命令通りすればいいんだ!」

俺のあとから、七十人位やって来た。みな、銃と剣と弾薬を持った。そこで防備は、どこだと思う? 古城子の露天掘りだ! 石炭を掘っている苦力の番をするのだ。

「なに! 苦力の番だって! 馬鹿にしてやがら!」

とおれはバカバカしくなった。

「そんな文句は云わんでもよろしい。黙って命令通りすればいいんだ!」やはり少尉はニガニガしげに答えた。

君が撫順に来たとき、大きな電気ショベルが、ザクザクと石炭をトロッコにすいこんでいただろう。そして、炭塵で真黒けになった日給三十銭の運搬華工や、ハッパをかける苦力がウヨウヨしていたね。その苦力の番だよ。夜があけると苦力は俺たちの銃剣を見てビクビクしだした。

「なんだい! こんな苦力の番が何で必要があるんだい!」

俺は吐き出した。

少尉はしばらく俺を睨みつけていた。そしてとうとう彼は云った。

「じゃ、君は帰ってよろしい!」

「帰るべえ。何だい!」俺はそういって歩き出した――しかしこのために、俺は近々事務所を首になるかもしれない。