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そうしゅん

早春

芥川 竜之介

大学生中村在博物馆爬虫标本室等待约会对象,表面平静却内心烦躁。这场藏在标本室里的密会,为何让他感到义务多于喜悦?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,135 字 · 7 页

青空文庫

「莫迦だね、俺は。」

話しを終った中村はつまらなそうにこうつけ加えた。

「ふん、莫迦がるのが一番莫迦だね。」

堀川は無造作に冷笑した。それからまたたちまち朗読するようにこんなことをしゃべり出した。

「君はもう帰ってしまう。爬虫類の標本室はがらんとしている。そこへ、――時間はいくらもたたない。やっと三時十五分くらいだね、そこへ顔の青白い女学生が一人はいって来る。勿論看守も誰もいない。女学生は蛇や蜥蜴の中にいつまでもじっと佇んでいる。あすこは存外暮れ易いだろう。そのうちに光は薄れて来る。閉館の時刻もせまって来る。けれども女学生は同じようにいつまでもじっと佇んでいる。――と考えれば小説だがね。もっとも気の利いた小説じゃない。三重子なるものは好いとしても、君を主人公にしていた日には……」

中村はにやにや笑い出した。

「三重子も生憎肥っているのだよ。」

「君よりもか?」

「莫迦を言え。俺は二十三貫五百目さ。三重子は確か十七貫くらいだろう。」

十年はいつか流れ去った。中村は今ベルリンの三井か何かに勤めている。三重子もとうに結婚したらしい。小説家堀川保吉はある婦人雑誌の新年号の口絵に偶然三重子を発見した。