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あさひかわから

旭川から

宮本 百合子

小熊秀雄氏の印象

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,309 字 · 3 页

青空文庫

諷刺詩人としての小熊秀雄氏が、その時代には成長の道程にあった。童話にあらわれていた味は、生活的な成長から諷刺に転じて、小熊さんの鋭い反応性と或る正義感と芸術的野望とは、諷刺詩を領野として活躍しはじめた。

技術的に諷刺的表現の或る自由さを身につけた頃、小熊さんや私の属していた文学の団体は解かれて、その前後の時代的な社会と文学との波瀾の間で小熊さんの諷刺性は、周囲の刺激に対して鋭く反応せずにいられない特性とともに、何処となく諷刺一般におちいった傾が現れたと思う。対象の含んでいる種々の複雑な価値についてよく考え理解した上で、そこに諷刺のおさえがたい横溢を表現してゆくという製作の態度よりは、寧ろ小熊秀雄の才分の面白さ、という周囲の評価の自覚において諷刺の対象への芸術家としての歴史的な責任という点は些かかるく扱われた。

この時代、小熊氏の活躍は量的に旺盛であったろうけれども、おのずから自身の生活も現実への無評価ということからアナーキスティックな色調を帯びざるを得なかったと思われる。

最後に近い年に到って、小熊さんは自身の言葉の才への興じかたも落ちついて来たのではなかったろうか。