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あすへのしんぶん
明日への新聞
宮本 百合子
「民報」1945(昭和20)年12月1、2日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,682 字 · 4 页
それまでは闊達であった婦人の政治的活躍も様々の法令や規則で禁止されるようになったし、所謂筆禍によって投獄される新聞人はこの前後に目立って多数になって行った。日本の開化期の文化に関係ある統計のあるものは極めて意味深く近代日本というものの本質を示していると思う。犯罪統計のうち破廉恥罪以外で投獄された人民の第一位を、新聞取締法違反によって告発された執筆者たちが占めていたのである。
二
日本の新聞の歴史は、こうして忽ち、反動的な強権との衝突の歴史となったのであるが、大正前後、第一次欧州大戦によって日本の経済の各面が膨脹したにつれて、いくつかの大新聞は純然たる一大企業として、経営されるようになって来た。利潤を追い求める企業としてのあらゆる性格と方法とを備えて来て、どっさりの金を出す広告は気狂いじみた権利を紙面に主張するようになった。各新聞の古風な商売仇的競争も、商品としての新聞の売行きのために激しく鼓舞され、記者たち一人一人の地位は、木鐸としての誇りある執筆者の立場から、大企業のサラリーマンに移って行った。記者その人々の存在は、社名入りの名刺とその旗を立てて走る自動車の威厳によって装われるようになったのであった。