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あすをつくるちから

明日をつくる力

宮本 百合子

「新女苑」1947(昭和22)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,381 字 · 19 页

青空文庫

ちょうど人間が胎児であったとき、その成長の過程で、ごく初期の胎生細胞はだんだん消滅して、すべて新しい細胞となって健康な赤ん坊として生れてくる。けれどももし何かの自然の間違いで、胎生細胞がいくつか新しくなりきらないで、人間のからだの中にのこったまま生れたとき、成長してのちある生物的な条件のもとで、その細胞が異常な細胞増殖をはじめる。そしてそれは癌という致命的な病気の名をつけられている。私たちは歴史の中にも、社会の伝統の中にも、日本らしいこういう矛盾、胎生細胞をもっていることについてまじめに知り、考えなければならないと思う。

しかし婦人が人民としての生活の中では性別如何にかかわらず法律の前に平等であると考えられるようになったことは、民法も改正して、あのおそろしい、妻の「無能力者」をなくするようになったし、男の子と女の子と財産に対する平等の権利も認められるようになった。夫と妻の財産に対する権利の平等、刑法上で婦人にばかり姦通罪がきびしかった点も改正され、離婚に対する権利の平等、母親の子供に対する親権も父親と等しいものに認められるようになってきている。これは日本でつくられた憲法、民法、刑法上での大革命である。