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めいあん
明暗
岡本 かの子
「むらさき」1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,887 字 · 12 页
眼鏡の下の三木雄の眼はその病症が緑内障であるせいか眼鏡の下に一寸見には生き生きと開いた眼に見えた。行き逢う人達の何人が、三木雄を盲青年と見たであろうか、
「あなたね。行き合う人がみんなあなたを見返るのよ。」
「…………」
「あなたのお洋服が好くお体に似合うからよ」
「…………」
三木雄は今までよりも杖を急にせわしく突き初めた。歩調が高まって余計さっさと歩き出した。智子はこの頃少しずつ気むずかしくなった三木雄のことを考えて素直に黙ってついて行った。
ある丘のなぞえの日当りに来ると三木雄は停ちどまった。
「智子、僕そんなにおかしく見えるか。」
「何云っていらっしゃるの、あなたは、めったにない程お立派ですわ」
「何故人が見る」
「あら先刻私が云ったこと間違ってとってらっしゃるの、何も皮肉じゃないのよ。本当にお立派だから人が振り返るのよ。私、実に好い服地と服屋をあなたに見つけたと思って自慢しようと思って云ったのよ」
「…………」
三木雄はうなだれた。杖の先が金具ごとぐっと砂交りの赫土にめり込んだ。
「あなたはこの頃少し、ひがみっぽくなってらしったわ……ま、とにかく茲へ坐りましょうよ。