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めいじてつがくかいのかいこ

明治哲学界の回顧

井上 哲次郎

04 結論――自分の立場

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,235 字 · 22 页

青空文庫

というのを刊行したのである。これは古代ギリシヤの哲学を講義したもので、だんだん継続して近世哲学に及ぶはずであったけれども、その翌年ドイツに留学することになったために、三冊で終った。ところがその後、有賀長雄が中世哲学を加えたので、五冊になったのである。西洋哲学に関する著書としては、これがわが国においては全く初めのものであった。

自分は東京大学においてドイツ哲学のほか夙に進化論と仏教哲学の影響を受けたのであるが、進化論者はとかく唯物的方面に傾向する。殊に加藤博士のごときは、よほど極端な唯物論者であった。自分も加藤博士と同じく進化論者ではあったけれど、どうしても唯物主義に走ることはできなかった。それはスペンサーの進化哲学を見ても、劈頭第一に不可知的を説いているということを考えて、スペンサーでさえもけっして徹底的な唯物主義者ではない。それに進化論はただ物質的方面の進化のみをもって満足すべきではない。精神的進化という方面を考えなければならぬ。どうも多くの進化論者は、自然科学的の進化論をもって満足して、とかく物質主義に傾向するけれど、それには自分はあきたらない感じを抱いて、どうしても哲学的方面から見た精神的進化主義をとるでなければ、はなはだ偏した不完全な進化論となるという考えであった。