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めいじぶんめいしじょうにおけるふくざわおう

明治文明史上に於ける福沢翁

大隈 重信

「慶應義塾學報第百拾七號」慶應義塾學報發行所、1907(明治40)年5月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,696 字 · 14 页

青空文庫

破壊党とでも認めたのであろう。無論破壊党である。全然この思想界を破壊しなければ、旧物を破壊しなければ、日本を文明に導くことは出来ぬというので、今日までの事業はことごとく破壊である。その時に当っては玉石共に焼くことがあるかも知れない。何でも構わぬ、一たび破壊しなければとても日本を文明に導くことは出来ぬということであったのである。その方から見れば先生に親炙した人達が見ると、そういう乱暴な行為は不思議であると思うほどである。

ところが先生ひとたび意を決して国のため社会のためにこれなりと認めると、如何なる反抗があっても生命を賭して驀進する。即ち破壊的大運動をなすのである。この勇敢なる行為というものが先生をして今日の如くあらゆる方面に向って成功せしめ、且つ多数の国民が先生に向って十分なる尊敬を表するという如く偉大ならしめたところのものは、基本は何であるかというと、即ち破壊的大運動である。その当時に書いたものが残っている。それをご覧になると皆破壊であって、日本の旧来の道徳を根底から破壊した。その破壊の余波が婦人の問題にも及んでいるのである。政治の問題にも及んでいるのである。