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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
「なア、オイ。ゆうべオレが小屋へもどって、さて、寝ようというときに、ボシャーンという大きな音がしたなア。たしかに裏庭の井戸だと思うが、まさか……」
二人の女はその三分の一も聞かないうちから、もう、やめて、と手を合せて拝みたいほどの怖しさ。
午ちかくなって、ようやく由也が起きたから、貴重な品物の破損を示して、何かお気づきのことが、ときくと、
「ウム。そうか」
由也はうなだれて何か考えこむ様子。その顔色の蒼いのは深酒の宿酔のせいか。まるで彼自身がこわしたようにジッと考えこんでいたが、
「三枝があやまって、こわした。雷鳴のせいか、よろけてその上に倒れたのだ。そして、泣いていた」
泣いていた。そこに全てがつきている。泣いていた三枝子の悲しさが彼女らの背中を水が走るようによく分る。当吉はお人好しだが、大の弱虫。三枝子が中に死んでいると知って井戸へ降りられるような男ではない。セッパつまって警察へ届けると、相当上の警官と若い巡査が井戸屋をつれてきてくれた。おどろいたのはラク。宿六の大弱虫野郎め。由也様のお許しもうけずに巡査にたのむとは。慌てて巡査と井戸屋を待たせておいて、急を由也につげる。