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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
「佐和子は士族ですから佐和子に私たちの身のまわりを見てもらいます。ハツエも町家の出だからまアよろしい。お前方二人は乞食の子だから、穢らわしいから私たちのお部屋へはいらないように」
折にふれて、こう云う。大学生の由也は先妻の子だが、兄が三枝子やオソノに用を云いつけるのにもヤキモチをやいて、兄がそうしないように中傷したり二人にシクジリをさせるような陰謀をたくらんだりする。三枝子は重太郎の妹。兄は乞食部落に住んでいるが、没落したとは云え、歴とした旗本の子孫だ。その旗本というのがシャクにさわるから、これも乞食の妹ときめている。
今村夫婦は一応それをかばうように取はからってくれもするが、実はやっぱり旧弊が身についているから、先祖代々の乞食の娘ということに色目をもっていることは、当人が何よりそれを感じ易くて、三枝子とオソノはまだ子娘ながらも今村カメ女必ずしも奥ゆかしい超俗の詩人にはあらず、神の正しい教えを身に体した偏見なき信女にあらず、と見ている。まだしも馬丁当吉夫妻が誰よりも偏見がなくて、士族も新平民も区別をもたない。
さて、重太郎は三枝子が主家の秘宝をこわして行方をくらましたときいて、妹はよくヤソの教えをまもって子供ながらも義務や責任をわきまえ、自らアヤマチを犯した時にとるべき手段をあやまるような娘ではない筈で