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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
「しかし、三枝子が家宝をわって戸外へ逃げようとするのを由也さんが追っかけて、二人ともハダシで外へでて、いったん玄関まで連れ戻された、大小のみだれた足跡はそれを語っているような気もするよ」
「ですが、その足跡の一ツは三枝ちゃんではないと思います。なぜなら、いつもお寝床の始末をするラクさんが、今朝のお寝床は泥でよごれて大変だから手伝ってと仰有るので参ってお手伝いしましたが、由也さまのオフトンを入れる押入の中を見ると、その中にもう一人前のオフトンがはいっていて、それも泥でよごれていたのです。ラクさんが不審に思ってそのフトンをおろしてひろげると、オフトンの中は由也様のよりも泥だらけで、その中からメガネが現れました。由也様はメガネをお用いではありませんし、三枝ちゃんが男物のメガネをかけるわけは一そう有りえないでしょう。どなたか泥だらけの男の方が泊って夜の明けないうちに立ち去ったのだと思います」
これは意外の話である。同行した若い巡査は遠山というが、オソノに好意をよせ、それにひきつづいて重太郎に親しみを寄せたらしい。重太郎、三枝子、オソノの来歴や身分を知って非常に感ずるところがあったらしい様子であった。