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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

12 その十一 稲妻は見たり

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页

青空文庫

栃尾さんがよ。大したことじゃアないやね。しつこいのは止せッてんで二ツ三ツ時田さんをぶッたかね。ぶたれたのは時田さんよ。酔ってるもの。ひどい泥酔よ。足腰てんでシッカリしないや。その二人を引きわけて、母里さんが時田さんを担ぐようにして送って帰った筈だがね。家へ帰って飲むからと母里さんは貧乏徳利ぶらさげてね。その時はまだ雨は降りださないよ。栃尾さん、川又さんは後まで残ってまた少しのんだが、そのうち雨がふりだしたから、やむまで待つツモリだったらしいが、やむどころか大変な大雷雨になって益々ひどくなる一方だから、ウチのカサをかりて帰って行ったよ。そうだね。先の二人が帰ってから一時間ぐらい後だったネ。え? 雨が降りだした時刻だッて? そいつは分らないが、時田さん母里さんが帰ったあと十分ぐらいからポツポツきて、大雷雨になったのはそれから三十分ぐらいたってのことだ。後のお二人の帰るころから、絶頂になって、それからのビリビリバリバリ、ひどいの長いの凄いのオレが生れて以来の大カミナリさ」

きいてみれば口論の相手は栃尾で、殴った方まで栃尾とは人をくった栃尾の口ぶりではないか。