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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
由也は茫然として長い失心状態の後に、とにかく時田さんをゆり起したと云いますが、そう云われると、たしかになんとなく思い当るし、自分の腕には三枝子さんにひッかかれたらしいカスリ傷もあるし、彼の言を信ぜざるを得なかったそうです。すると由也は、君が殺したとなると自分も父に叱られて困ったことになるから、父の秘蔵の品物をわって三枝子が失踪したようにしよう。こういうわけで、青磁と柿右衛門の皿をわって、三枝子の屍体はいったん縁の下へ穴をほって埋めた後に、この件では皿屋敷が誰の頭にもピンとくるだろうから、なるべく人にピンとくるように裏の井戸へ石を投げこもう。そのすぐ上の二階には今村小六という勉強ずきの神学生がいて、今も灯がもれているから、この水音をききのがす筈はない。さて、そこで深夜に水音がしたのに井戸を探っても屍体がないとあれば、それは三枝子さんの偽装で、実は三枝子さんは生きて行方をくらましているらしいということが自然に人々に信じられるであろう。これが由也の語ってきかせた計画であったそうです。長時間の大雷雨のおかげで屍体の始末も終り、さて大雷雨のあがるのを待って、井戸へ石を投げこんで、時田さんは母里家を立ち去ったのでした。