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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
花廼屋はブッとふきだして、
「相変らずの石頭だなア。尊公は。三次郎が盗ッ人を殺すワケがあるかえ。当身で倒す腕もある。まして祝言の当夜だぜ。石頭には人の心が解けないなア。人の心には曰くインネン故事来歴があって、右が左にはならないものだぜ。ちとオレの小説を学ぶがいいや」
「ハッハッハ。貴公の犯人は誰だえ」
「まだハッキリとは云えないが、とにかく、これは女だなア。お家の大事と思い乱れて逆上する。女の心てえものが、この謎をといてくれるな」
虎之介はゲゲッとふきだすと腹を抑えて、しばらくバカ笑いがとまらなかった。
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島田幾之進とは何者か。平戸久作との関係は? 新十郎は石橋をたたくように一ツ一ツ調べつづけた。
しかし、結局、島田幾之進が何者であるか、ついに新十郎も突きとめることができないのだ。
巷説によれば、馬賊の頭目であり、海賊の親分であるとも云う。そして、この道場へ住みつく時には革の行嚢に金の延棒を百三十本ほどつめこんでぶらさげて来たという。もとより真疑のほどは明らかでないが、その金の延棒がなかったことは家探しの結果明らかであるが、巷説を信じて坊主父子が麻の袋をぶらさげて盗みに入ったと見ることはできる。