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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
金三は忍びこむ五忘らを地下の密室で殺す必要があった。それが彼の意志かどうかは御推察にまかせますが、それは当家に犯人の汚名をきせるためと、たぶん、金の延棒の発見、没収を策すためでしたろう。金の延棒があると、島田一門はいつかシナの山中へ消え隠れてしまうから」
新十郎はニッコリ笑った。
「さて、わからないのは金の延棒の隠し場所ですよ。私は今もって知り得ませんが、どうやら三休と五忘はその場所を心得ていたようです。あの家探しの結果、分らなかった場所。そして、三休と五忘の用意からみると地下でもない場所」
そのとき島田幾之進が、セキ払いをした。それは笑いをかみ殺しているようにも見えた。彼は笑みをたたえて、叫んだ。
「まぼろしの塔!」
「まぼろしの塔?」
「左様です。まぼろしは、目に見えます。あまり良く目につきすぎるものは、誰の目にも止りません。これが、まぼろしの塔です。皆さん一番よく見ていたもの。あんまりハッキリ見えすぎるので、気がつかなかったもの。それ、道場の土間の敷石をごらんなさい。それがみんな金の延棒なのです。この道場は私のまぼろしの塔なのです。私、またの名は白……」