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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
15 その十四 ロッテナム美人術
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 页
この三名を見ると、克子はなんとなく悪感を覚えた。とは云え、二人の男は立派な大紳士である。須和康人は鉱山業者で大金満家。久世喜善は大伴家の家臣ながらも最高重臣の相談役、克子とても礼を失って対することはできない。一同鄭重に礼を交してのち、喜善は克子に向って苦笑しつつ、
「さて、克子さま。まことに大役で恐縮ですが、兄上様の御心を静めていただきとう存じます。すでに、令夫人も、小村医師も、我々もサジを投げておりますので、克子さまの手にあまる場合には最悪の事態に至りますのでなア」
「最悪と申しますと?」
「まことに申上げにくいが、兄上様がかように刀をとって暴れられては致し方ございませぬ。精神病の医師に見せて、場合によってはカンキンも致さねばなりませぬ」
克子は全身の感覚を失うように思った。ようやく我にかえったが、混乱はうちつづくばかりであった。怖しいことだ。兄が精神病院へ入院すれば、兄に弟も子もない大伴家はどうなるだろう?
いま、自分に課せられていることは、なんと重大な、また残酷なことであろうか。死せる父よ母よ。兄とわが身の上に宿りたまえ。つつがなく当家を守護したまえ。