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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
15 その十四 ロッテナム美人術
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 页
いつもと同じお部屋よ。天井も、寝台も、壁も」
宗久の目はやや光った。
「バカな。同じ物はいくつもあるのだ。同じ部屋をつくるぐらいはワケがないことだ。オレが抱いてねたはずの刀がどこにもないではないか」
克子はハッとした。静かに立ち上り、フトンの中をたしかめ、寝台の下や四囲を改めたが、見当らなかった。すでに叔父たちが取りあげて隠したのだろう。それはすぐに思い当ったが、それをどのように説明すべきか、克子は時間をかせぐために空しく探していたのである。
克子は椅子にかけて兄の手をとり、
「お兄さま。どうして刀などが御入用なのでしょうか。そのワケを克子に教えて下さいませ」
「ここにはお前のほかに誰もいないね」
「おりません」
宗久は目をとじた。総てがメンドウくさいのか、自分で何か確かめる様子も表わさない。さればとて、さッきの疑念が納得できた様子もない。彼は甚しくものうそうに目をとじたまま、
「オレはお前だけ信じているよ。こうして目を閉じていると、お前が見えなくなる。けれども、そこにいるのは克子だと思うことができる。何も見えなく、信じることができるほど静かなことはないなア」