轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
15 その十四 ロッテナム美人術
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 页
それが単にアラビヤの国名のみならば、まだしもそれに多く拘わることは滑稽かも知れない。兄は長々と呟いたではないか。
「エジプトのナイルの河が海へそそぎ、その砂が海底をわたり、海を距てて積みなしたところ、アラビヤの沙漠の辺……」
これぞまさにロッテナム美人術の広告中の文章ではないか。兄がロッテナム美人術を知っているとはフシギなことだ。いつも書斎にとじこもり、世事に興味をもたぬ兄が。
「ここに、何かイワレがある……」
克子は石のように、考えこんでしまった。しかし、どのようなイワレがありうるというのだろう。克子はただの一度だけ訪れたことのあるロッテナム美人術の店内の様子なども思いだした。別に思い当ることはない。ロッテナム夫人は醜女であった。エルサレムの生れというが、当り前の西欧人によく見かける顔とそう変りはない。
変っているのは、むしろ煙りつつある香料の器をささげて寝椅子のまわりを歩く二人の黒人男女であろう。それはまさに真ッ黒けの逞しく大きな黒人男女であった。
そう云えば、もう一人、黒人がいた。これも大きな黒人で、やっぱり頭髪がチヂレていたが、これは手術室にははいらない。