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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
19 その十八 踊る時計
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,713 字 · 54 页
ナミ子は立ちはだかって制したが、ムキになりすぎて語気が荒かったから、オトメを怒らせてしまった。
「私はこのウチの長女だよ。全作さんにも姉に当る私だよ。女中風情が、無礼じゃないか」
「それはすみませんでしたね。ですが、私の役目ですから、お通しするわけには参りません。大声もいけません。この時間には皆さんが遠慮なさるのですよ」
「ですがね。今日は来ないわけにはいかなかったのよ。神様のお告げなの。私が見ていてあげないと、あの人は殺されるのよ。神様がハッキリそう仰有った。マチガイはありません」
ナミ子の制止がきいて、にわかに遠慮ぶかい小声になったが、目はギラギラ光っていたし、激発を押えている意気ごみが察せられた。思いがけない言葉で、小声のためにかえって薄気味わるかったが、この婆さんが狐ツキのフーテン病みだという定説を考えれば、意気ごみはとるに足らない。自分の役目が必要なのは、こんな怪人物がいるせいだ。
「十かぞえるまでに帰って下さい。それが私の役目です。あなたの騒ぐのが旦那様の御病気に何より悪いのです。女中と侮ってはいけません。役目ですからイノチガケですよ」
若い娘だから、相手の気勢に輪をかけて応じた。