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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

19 その十八 踊る時計

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,713 字 · 54 页

青空文庫

人殺しだって、こんなに思いきった荒々しい動作でやりやしないだろう。

我慢しかねて抗議したのは、この家の者ではなくて、見舞いに来てくれた川田であった。もっとも彼は発見者の責任もあった。

「広間の陳列品は日本の一流の美術品だから気をつけて下さいよ。骨董屋の店先に並んでいるピカピカしたガラクタとは物がちがう。一ツでも、何万、何十万という珍品ぞろいだ。この品物と一しょにいると、品物が持主を殺したがるに相違ない。品物の面魂を見てごらん。ジッとイノチを狙っているね。そういうのが三十や五十はあるだろう。なにしろ、本来の持主と一しょに、土の下の古墳の石の部屋の中にある石の棺の中に千年も二千年も眠っていた品々だからね。一枚の石のフタが四畳半はタップリある奴を五枚も十枚もならべた下に二千年も眠っていたのだ。怒っているよ。病人を殺した短剣だって、墓の中から出てきたものかも知れない」

こうおどかされて、警官も単なる人殺しの現場以上に妖気がこもっているのに気がついた。人殺しなんてものは警官にとっては便所のようにありふれた物にすぎない。死んだ病人のウミの方が死人よりもイヤだ。