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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
19 その十八 踊る時計
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,713 字 · 54 页
まだ木口看護婦が全作に食事を与えている最中であった。それを見ると全作は待っていたらしく、
「そろそろお前を起させようと思っていたところだ。宮本は成田へたったろうな」
「今朝五時にたちました」
「ナミをよべ。伊助をむかえるダンドリをオレがよくきかせてやる。お前は伊助がくるまで隣りの部屋に居るがよい」
宮本とは当家の書生だ。これがまた書生の中で有数の能ナシで、もう三十を一ツ二ツこして鼻下にヒゲをたててもフシギのない年配であるのに、よその三畳にくすぶってオマンマにありついてる。そこに住みついてから十年にもなるという人のウチの主になりそうな存在であった。
大伍がナミをつれてくると、全作がナミに云った。
「八時に伊助という織物の行商人がくるから、門の外で待っておれ。四十がらみの見るからに品のない行商人らしい小男だ。それらしい人がきたら伊助さんですかと訊いて、そうだと答えたら、外の道を一まわりして、庭の木戸から連れこむがよい。裏階段から登ると人目に立たずに連れこむことができる。人目にふれてもかまわないが、伊助が玄関へ立って、御主人様にお目にかかりたいと言わせなければそれでよい」