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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
21 その二十 トンビ男
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,486 字 · 57 页
さて楠はその日の勤務を終ったとき、帰り支度をととのえてから、ふとアルコール漬けの拾い物の前へ行ってたたずんだ。
「君だけが拾ってくるというのはタダゴトじゃアないぜ。君に惚れたらしいな、このホトケは。いずれユー的が訪ねて行くかも知れんから、その節は戸籍をきいておいてや」
と上役にひやかされる。一同もそんな風に感じているらしい。
一ツのガラス容器に、左モモと右足クビ以下。他の容器が左の二の腕と右のテノヒラ。
「せっかくバラバラに切ったんだから一ツずつ包みにすればよいものを二ツずつ包んでるとは慌てた話じゃないか。筋道が立ちやしない。取り合わせもデタラメだなア。二ツの包みはそれぞれ左と右とマゼコゼだ。ハテナ? そう云えば、どっちも左と右のマゼコゼだ。それにモモと足クビの包みの方はマンナカのスネに当る部分がなく、二の腕とテノヒラの包みの方もマンナカのヒジから手クビの部分がぬけてるな。手と足との二ツの包みがチャンとツリアイがとれてるな。ここに何かホトケのササヤキがあるという次第かね」
妙にインネンが気にかかるから、楠はそれからそれへと考えた。けれども手足の一部分にすぎないものを、いかに長々と睨んでいたところで、ホトケの身許を知る手ガカリなぞ全く現れてきやしない。