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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
20 その十九 乞食男爵
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,755 字 · 62 页
「ですが、またその日には、ほかに大そう重大なことが起ったのを覚えていませんか」
「え? ほかに?」
久五郎はビックリして新十郎の顔を見つめた。いかにもフシギそうだ。思いだせないらしい。
「その家探しのあとですよ。小花さんが家出して、行方不明になったのが」
「エ? 家出? 小花が行方不明に? ハア成程。そうですか。その日小花が行方不明に」
「あんまりお心にかかる出来事ではないようですね。すると、その後日に、再び周信さんが明朝の家探しのフレを廻しに現れたことがあるのですね。尚そのほかにも周信さんの訪問はありませんでしたか」
「ここへきて、たしか、その二度だけです」
「すると一度目が一月十三日なんですが、二度目の時の日附が御記憶にありませんか」
「日附なんぞは、今日の日附もハッキリ分りやしないのだから、以前のことは分りません。だが、たしか、どこかに女相撲がかかっていたとやら聞きましたね」
「私はこのへんの出来事には不案内で皆目存じていませんが、女相撲がどこかにかかっていたのですか」
「どこかにかかっていたそうですね」
返答はたよりなかった。
世捨人にイトマを告げ、次に海舟先生の町内、氷川町に住む小沼男爵家を訪れて、政子に会って先程の非礼を詫びたのち、