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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
13 その十二 愚妖
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,839 字 · 55 页
そのときから、クサレ目はオタツにクサレ目をうつすことと馬のクソを食わせることをやりとげるまで生きねばならんと考えてワラ人形の目にクサレ目をぬり口に馬のクソをつめて釘ヅケにしました」
話がどこまでつづくか分らないから、タンテイはもうタクサンだと云う代りにカモ七の口を両手で押えつけた。彼は手足をバタつかせたが、同じことを三度くりかえしてやられるまでは、タンテイが手を放すたび演説をつづけはじめたのである。
菅谷巡査はカモ七の女房思いの心情にホロリとさせられたのである。浮かない顔で帰路をたどるカモ七をなぐさめて、
「人殺しというわけじゃないからな。たかが人の山の木を伐っただけだ。徳川時代とちがって、木を伐ったぐらいじゃ一ヶ月も泊められやせんから、心配するな」
「クサレ目の生きてるうちは、オレはオチオチ安心ができませんや」
「なぜだ」
「まアね」
カモ七はアイマイに言葉をにごした。その様子はさッきの雄弁とは変って、きびしい何かがあるようだ。彼の真実の苦しみが、ふと感じられたのである。この植物にも人間の悩みがあるのかなア、と菅谷は感無量であった。そう云えば、カモ七にもなかなかシンの強い強情なところがある。