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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
て、夜更けまでガヤガヤとたのしんだそうです。それがそもそものタタリの元であったようです。深夜まで客をもてなすための火を絶やすことができなかった。その火の不始末であったそうです。明方にちかく火事となって、大きな建物が夜の明けた時には灰となっていたのです。自宅の火事ともなれば、オーカミイナリの文書など考えていられませんから、そんなものの存在すらも忘れて荷を運びだしているうちに、むろんその古文書と称する物は灰となって地上の姿を失ったというテンマツなのです。これがモンチャクの発端です」
「その古文書は由緒ある物ではなかったのですか」
「田舎者のことですから学者というほどの者はおりませんが、しかしその晩古文書を改めた人たちは、蛭川さんを除けば、とにかく好事家で、長年の間、村内のそういう物を好んで探しだして読み漁ってきた人たちなのです。で、その人たちの見たところによると、一見してニセモノで、村名なども今の文字で書いてある。和名抄にでてくる古い村名でなく今の名や文字で記されているというヌカリのあるニセモノだったそうです。ですから天狗の強談判がはじまると人々は、蛭川さんにいたく同情したものですよ。