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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
ここから街道をすてて山中へわけこむと、オーカミイナリがあるのだ。ここの里人に訊いてみても、オーカミイナリのことはよく知られていなかった。
「この里の者でオーカミイナリの信者も一名だけでましたが、信者になると山へこもりますので、そッちへ住みついてしまいましたよ。諸国から信者が集ると申してもごく少数で、この里を通って山へわけこむそれらしい人の姿を見かけるのは年に四五十人とのことですよ。阿久原の方からの参詣人はここよりも多いという話です」
これぐらいしか分らない。あとは天狗の本拠へ乗りこむ以外に手はなかった。
「いかなる魔人魔術が行く手に待ちかまえているか知れませんね。その折は、泉山さん、よろしく御願い致しますよ」
と新十郎に笑みかけられると、虎之介は暗い顔で重々しくうなずいた。全然自信がなくなった様子であった。
★
翌朝一行は里人に道案内をたのんで山の中へわけこんだ。曲りくねった山の小径を三時間ほども歩いて、ようやくオーカミイナリの本拠に辿りついた。山の山頂にちかいちょッとした平地で、そこに大神の子孫と称する神主の住宅をめぐって、十いくつかの掘立小屋がテンデンバラバラたっていた。