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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
一同の顔が揃うと、新十郎はうしろに隠した両手の品々をそッととりだして一同に示した。右手には猿田の面が、左手には神の矢が握られていた。
「狼の足を持たない山の素人が夜の明けないうちにオーカミイナリを往復するのは大そうな重労働だ。全速でやったツモリですが、夜が明けてから二時間ちかくも姿をさらして歩かなければなりませんでした」
新十郎は笑いながらつけ加えた。
「疲れついでに、もう一度オーカミイナリへ行ってみようじゃありませんか。何か変ったことが起きているかも知れません。私たちの並足では太駄一泊の二日がかりで到着するのが当り前の行程ですね。明日の午ごろオーカミイナリへ到着してみると、案外なことが分るかも知れません」
(ここで一服。犯人をお当て下さい)
★
その晩は太駄で一泊。翌日の午ごろ予定通りオーカミイナリの住居地帯に到着した。
新十郎がまず訪れたのは伊之吉の小屋であった。訪いを通じたけれども内部から返事がない。
戸をあけてみた。内部には誰の姿もなかった。
新十郎は伊之吉の姿が見えないことにはトンチャクせずに内部へはいって見返した。彼は一枚の紙片をとりあげた。