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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
18 その十七 狼大明神
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 页
「私のほかに誰か来た人があるのかしら。このウチにはイタズラする子供もいないのに」
彼女はそう思いながら扉を閉じようとした。と、内部に、白い物があった。
「オヤ。なんでしょう?」
彼女も昔、中を改めたことがあった。そこには御神体もなく、何物も一切なかった筈である。
中の物をとりだした。字が書いてある。
「蛭川真弓 享年四十八歳」
位牌ではないか。蛭川真弓とは父の名だ。享年四十八。父の現在の年齢だった。彼女は一本の棒となって息をのんだ。
誰かのイタズラだろうか? それとも、父がヤク払いのつもりで、自分で入れたのだろうか?
だが、なんの気もなく、その裏を返して見たときに、彼女は血を浴びたように、すくんだ。
「大加美稲荷大明神」
大加美――狼だ。シサイに見ると、字の一劃ごとに蛇である。狼イナリのお札に相違ない。
彼女はお札をそッと元へおさめた。父はお茶屋に流連でまだ戻ってこないし、兄は商用で朝早く外出していた。彼女は川根の姿を見つけだしたので、そッとイナリの前へ案内した。そして、中の物をとりだして見せた。
川根はシサイに表裏を改めつつ由利子の話をきいていたが、