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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
04 その三 魔教の怪
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,829 字 · 45 页
なるほど、使用人の部屋から、アズマヤまでの距離は直線にしても甚大で、きこえないというのが当然のようだ。
あいにく庭の裏手は道路を距てて広い校庭になっており、近所には人家が一軒もない。聞き込みの当てもないのであった。
新十郎はしばし現場のアズマヤにたたずんで四方を眺めた。そこは大木にとりかこまれて、さながら深山幽谷にいるかのような趣き、四辺の木々はひっそりとしずまって、まるで一里の厚さにかこまれた森の中のようであった。彼はアズマヤの中へはいってアチコチ見まわした。藁ブキのアズマヤであった。
新十郎は密森から明るい池の方へでて女中をよんで、
「ちょッとお嬢さんにおききしたいことがあるのだが、こちらへ来ていただいたものか、お嬢さまのお部屋へうかがったものか、御都合をうけたまわって下さい」
月田邸へ到着するや、いきなりミヤ子に会いたいと云わなかったのは賢明の策。ミヤ子に会うのは主たる目的でも何でもないような様子を見せたから、それではおいで下さいと広間へ通された。ミヤ子は一同をむかえて、
「私に何の御用でしょうか」
「喪中にお騒がせいたしまして、無礼の段おゆるし下さい。