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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
05 その四 ああ無情
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,336 字 · 47 页
敏司が業を卒えたら、芸人の足を洗って丸マゲに、と、夢之助はたのしい夢を描いて男に金を貢いだりしているという評判である。
折しも看護婦の常見キミエという十九の娘が、敏司の愛情が他へ移ったのを恨んで服毒し、自殺未遂に終ったが、調べてみると、看護婦の中にも彼と情を通じたものが数名いるらしい話である。娘の聟にはもっての外の道楽息子なのである。
ところへ事件が起った。本郷の薬屋の息子で、河竹新七の弟子と称する狂言作者見習いの文学青年、小山田新作という者がヒサを見そめて言いよっていたが、ついに短剣をつきつけて自宅の土蔵へつれこんで手ごめにした。気違いめいた男で、手ごめにしたアゲク、裸体にして柱に縛りつけてお灸をすえたり色々と折檻したから、往来を通りかかった巡査が悲鳴をききつけて土蔵へ踏みこみ、ヒサを助けだした。示談でケリがついて新作は罪をまぬがれ、いっそ妻にと正式に申しでた。傷物になっては仕方がないから、母親もあきらめて、新作へ嫁にやろうとしたが、ヒサがウンと言わない。そのとき、ヒサの面倒を見てやろうと名乗りでたのが真砂町に別荘をもつ中橋英太郎であった。話はうまく進んで、ヒサとその母は向島の立派な妾宅に住むこととなった。