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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
06 その五 万引家族
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,970 字 · 48 页
一也が書生に似合わない舶来の写真機をいじくりはじめたから、
「一也さんも、万引やるんじゃないの。あなた方には怪しからぬ血がいろいろとこんがらがって流れているのだから」
「フン。その代り、天才の血が流れているのさ。もっとも、キミの旦那様だけ、天才の血が外れているらしいぜ、このウチにバカの血だけはない筈だが、どうも奇妙だ。すると癩病の血も万引の血も外れているかも知れねえな。そう思って我慢するがいいぜ。癩病一家へ御降臨あそばしたからッて、牛肉屋の娘がにわかに気が強くなるのは考え物だな」
「あなたの何が天才なのさ。ちょッとした学問を鼻にかけるのは、見苦しいわよ」
「ハハ。愚物には分らねえのさ。マ、写真を撮してやるから、せいぜい良い顔を工夫するがいいね」
一也はにわかに写真に凝って、女中から来客まで、やたらに撮しまわる。昔の機械だから、大そう大きな箱で、黒幕をかぶってやる。現像も自分でやらなければならない。始めは不出来であったが、どうやら、うまくなってきた。彼は猛烈な凝り性で、昼夜をわかたず、写真にかかりきっているようであった。
浅虫家はもともと地方の旧家で大金持であった。