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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
06 その五 万引家族
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,970 字 · 48 页
この警官は彼が警察へ三人づれで押しかけて来たのを見覚えていたから、ハテ、何か悪事を企んでいるのではないかと、訊問し、フトコロをしらべると手の切れるような札束で千円。サテハと署へひッたてた。
「ナニ、ユスリ、タカリなんぞするものですか。もらってきた金でさア。ウソだと思ったら、浅虫さんへきいて下さいな」
浅虫家へ問い合せると、いかにも呉れてやった金。決してユスリ、タカリではありません、という返事。
そこで、これは怪しい、何かあるな、と、却って警察の第六感をシゲキしてしまった。そういえば、かねて野草の長男が言った通り、あの崖から足をふみすべらしたにしては、たかが格闘ぐらいで、地震ではあるまいし、石が同時に三ツ四ツ落ちたというのは解せないことである。ひとつサグリを入れてみようということになった。
★
相手が大家であるから、ウッカリ間違えると取返しがつかない。署の方から結城新十郎に応援をたのんだ。新十郎の一行は崖の上下をメンミツに調べたが、崖の石が四ツ崩れて落ちている。その他の石には影響がなく、ほかに崩れそうな石は一ツもない。
家人をはじめ関係者すべて一人一人しらべてみると、浅虫家の風変りな内容、癩病の筋のこと、先代の狂死のことも、すべて判明した。