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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
06 その五 万引家族
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,970 字 · 48 页
御炯眼。先ず、そこから当り始めるのが順序でげす。ヤツガレもチクと同行いたしましょう」
と花廼屋が尤もらしく打ちうなずくから、虎之介も負けていられない。ナニ、バカな、といいながらも、手順を略してドジをふんでは心外であるから、そこで三人づれが、旅行することになった。
昔の女中たちの話からは、殆ど今までに分っている程度のことしか知ることができない。七人いた女中のうち全部はまわらなかったが四人には会った。当時、男の使用人は三人居た。野草のほかには、植木屋が一人、車夫が一人。これだけが庭内に宿をもらっていたのであるが、車夫も植木屋も今は行方が知れないのである。
女中たちの証言で、特に異様なことが一ツあった。新十郎は必ずこう訊くのである。
「奥様と娘のキク子さんは毎月どれぐらいの買物をなさるのだね」
「ハア、よくは存じませんが、時に一軒の店から五千円、一万円等と莫大なものがあったようです。それはまア貴金属類でございます」
「そのツケに書いてある半分ぐらいが万引の品なんだね」
「ハ?」
「奥様とキクさんが万引なさッた品物のことさ」
「ハア。万引でございますか? あの大家の奥様、お嬢様が万引なさる筈はございませんでしょうが」