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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
06 その五 万引家族
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,970 字 · 48 页
新十郎は益々くつろいでみせた。彼はクスリと笑って、
「しかし、奥様の御手腕はお見事ですなア。私が何より敬服いたしましたのは、癩病や万引のことではありませぬ。これはまア、ちょッと智恵のある者は考えつく手です。最大の妙手は甚吉の行方不明を目立たぬように工夫された急所の一手。即ち、甚吉も野草同様、屍体の後始末を手伝った如くに見せかけ、その秘密を守るために当分両名に身を隠させたと見せかけて、葬儀も終った後になって、ヒョッコリ野草を帰宅させなさった一手です。同時に使用人全員一週間内にヒマをとらせなさッたのがこれに関聯する妙手でしょうが、さすれば他の使用人はヒマをとる寸前に野草の帰宅を見て、甚吉も追ッつけ帰るだろうと軽く信じて退散したにきまっております。私どもの調査でも、誰一人この点に疑念をいだいている者はおりませんでした」
未亡人もこういわれて軽く笑い、
「その智恵は花田先生が指図して下さったのです。この後始末ではどれぐらい花田先生のお世話になったか知れません。その後も陰になり日向になり当家をまもって下さいましたが、キク子の婚約がととのいましたのも、一ツにはキク子を救って下さる有難いお志、又一ツには、先生の身に万が一のことが起った場合、若先生に代って当家をまもらせて下さるための有難いお志。